遙 洋子 Yoko Haruka

遙日記

マッチ売りの少女

2021.09.20

買ってきたぞ。フライパン。

百貨店の、今度はお姉さんにお願いした。

「失敗したんです。次はお姉さんに選んでほしい」

「どんな失敗?」

私はどの料理も失敗すること、目玉焼きも張り付いて剥がれないこと、焦げるし、フライパンで成功したことない事を話した。

「まぁぁぁぁ・・・」

お姉さんは、同情を隠さない顔をして聞いてくれた。

私を、世界一可哀そうな女の子のような眼差しで見つめた。

私は、マッチ売りの少女になった気分だった。

「テフロンってなに?フッ素ってなに?ガラスってなに?バーミキュラはなに?なんもわからないんだ」

お姉さんは、教えてくれた。

「いろんな名前が違うだけでね、全部、フッ素加工なの。」

「そーなん」

「一番の希望はなに?」

「・・・目玉焼きが焼きたい・・・」

「まぁぁぁぁ・・・」

「あんまり高いのはやだ」

「じゃあ・・・これは?」

お姉さんが選んでくれたのは、ルクルーゼのフライパンだった。

女性店員さんが近づき、「これで食パン焼くと美味しいですよおお」と教えてくれた。

「お姉さんも、これ持ってるの?」

「はい。同じのを使ってますよ。使いやすいですよおおおお」

お姉さんはその場で料理の作り方や卵の焼き方を教えてくれた。

やっぱ、困った時は、女性の先輩だ!!!

 

明日朝、卵を焼く。感動しそうな予感で眠れそうにない。

 

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