遙日記
悲しくてやがて嬉しき
2021.09.13
「私は悲しい」
トレーナーに昨日あった出来事を喋った。
「私の職業がばれた。悲しい。悲しい」
そのトレーナーは、私だとわかっててずっと黙ってくれてる。
だから、私は彼を信頼してる。
話を聞いた後、トレーナーが言った。
「僕も悲しい」
「あ。悲しさが半分そっちに移った。わーい」
そして、「あっちいって。トレーニングする」
日曜は混んでる。
女性エリアが混んでいて、男性エリアでダンベルを使った。
それを見つけたトレーナーが近づいてきた。
「大丈夫ですか」
すごいね。私が、男性が苦手だと知ってくれてる。
その私が周り全員男性の中にいるから来てくれた。
「大丈夫。このエリアの人たちは自分にしか興味がないから」
彼らは皆、鏡に映る自分の筋肉を愛してる。
鍛えてはその部位を眺め、触り、もいっかい筋肉を盛り上げる。
私なんかには関心もない。
帰り際、トレーナーが言った。
「苦手な男性が今来ました。後ろ向いて」
そうやって、苦手なタイプを見ずに済んだ。
なんだかんだ言って、私はきっと、幸せもんだ。