遙日記
祈願にいく
2020.11.20
まもなく新刊本がでる。
男友達につきあってもらい、山頂の神社に、たくさんの方々に読んでもらえますように、と、お参りに行くことにした。
「いい? 一願成就だからね、ヒット祈願よ!ヒット祈願」
「遙さん、文字がまだ見えますか? 僕、最近小さい文字が見えなくて」
「老眼よそれ! なにをうっかり老眼なんかになってんのよっ。ボーッと年とってんじゃないわよっ」
「遙さん、山登れますか? 背中、押してあげます」
「私を助けてなんかいらないわよっ。 助けて、と、私が言った時だけ助けてくれたらいいのよっ」
「でも、ヨレヨレですよ」
「助けていらないってば!」
「わかりました」
「頼りにしてたのに、まったくもう。老眼になって。私の本読めないじゃない。私より先に老けちゃダメ。私より先に死んでもダメ。
一願成就だからね。一個だけよ。願い事は。遙さんより長生きしますように、とだけ願ってね」
「わかりました。遙さん、僕、膝が痛いです」
「まったくもう、老眼だし、膝痛むし、ボーッと年とってんじゃないわよっ」
「僕、年とってません。目は、遠くはしっかり見えますから!」
遠くは見えて、近くが見えない・・・・それを老眼っていうんだよっ。
ご住職が、通りすがりの私たちを見て言った。
「若い人はよろしいなぁ。半袖で」
私たち、もう老眼だぞ。ヨレヨレで汗だくだから半袖だ。
高齢化社会は、なにか、どこか、おかしい・・・。