遙日記
世界チャンピオンだ
2020.11.13
ボディビルの元世界チャンピオンのいるジムに体験で行った。
すぐ、きっとこの人だとわかった。
「世界チャンピオンですか?」
「昔な」
チャンピオンは、腹筋から始めようと言う。
「腹筋は嫌です」
「なんで」
「しんどいから」
では、と、1.5キロのダンベルからスタートした。
「先生、これは、地味ですね」
「地味なんが、大事なんや」
「私は・・・ウキウキするのがやりたい」
そして、派手などでかい鉄の機械をワッセワッセとやることになった。
「先生、これ、好き」
「そうか。じゃ、次は腹筋しよう」
「嫌」
「腹筋、三つに割れるねんでぇ~」
チャンピオンは、とても楽しいいいことがあるよ、と、表情と声色で語る。
でも、私より目上の人がそう私に語る時、必ず、その先にはしんどいことや辛いことがあるのを私は経験で知ってる。
「嫌」
「どうなりたくて来たんや」
「ああなりたい」
胸板の分厚い男性を指さした。
「あんな分厚い胸板になりたい」
「足腰も大事やで。年とったら足腰から弱る」
「嫌」
私が、百回、嫌と言っても、チャンピオンは私を許してくれた。
私、ここに通うんだ。
決めた。