遙日記
なぜ皿の上にこんなものが・・・
2019.05.15
糖質制限中だ。
特にパンは食べてはいけないそうだ。
が!
私のパン好きはハンパない。
東京駅で大阪用に食パン1斤買って、大阪に着くまでに、食いきったこともある。夕食は食パン1斤。
イートインの焼き立てパン屋は実に美味しい。
まあまあ程度だったり、ハンバーガーショップのパンは食べないでもまったく平気。
でもそれが絶品パンだったら・・・?
許す。
自分を許す。
ただしルールを設けよう。絶対おかずパンしか食べない。
お菓子パンは死んでも食べない。それが自分に課したルールだ。
選ぶ真剣さは子供のころの駄菓子屋以来だ。
サングラス外して吟味するのだ。できるだけパンが少なく、おかずの量が多いパン・・・。
渾身の1個を選び「温めてください」と、客席で待つ。
来た皿には、あり得ない、絶対あってはならないものが乗っていた。
店員が笑顔で言う。
「サービスで、ドーナツを一切れ、添えました」
…ド…ドーナツ…!!
なにしてくれとんじゃ!どんな思いで甘いパンを避けてここにいるかわかっとんのか!
無意味な抗いでも必死でおかずパンを選んだこの心情!
クリームパンも、よもぎパンも、アンパンも、揚げパンも、大好物を全部避けて、唯一選んだおかずパン・・・。
ああ台無しだ。いったいどうしてくれるんだ。選ばない勇気はあっても、食べない勇気はあるだろうか。。あああ!あああっ!!
大人しくおかずパンを食べ、呆けたようにドーナツをじっと見つめた。
・・・どうしてくれよう、このドーナツ。ちょとだけ、まわりの粉砂糖だけ舐めようか、いや、1センチだけかじろうか。
匂いだけ味わおうか。どうしてくれよう。どうしてくれよう。
ドーナツを睨んだまま、5分が経った。
5ミリだけかじることにした。味だ。味だけみて帰るんだ。
舌に粉砂糖の上品な甘みが広がり、追いかけるように染み込んだ油がジュワ~とにじみ出る。噛むともっと甘みと油が香りと共に広がる。
くそ。
うまい。
・・・・・・全部口に入れた・・・・・・
首を直角に下げ、うなだれて店を出た。