遙 洋子 Yoko Haruka

遙日記

タコ焼きを食べる夕暮れ

2022.10.09

露天のタコ焼きやさんに仲間と入った。

路上にパイプ椅子と簡易テーブルだ。

夕方だ。帰宅する人たちが横を通る。

ああそうだった。

路上で仲間とタコ焼き食べる光景がとても幸せそうに見えた。

それを今、自分がやってる幸せ。

何気ない、ささやかな350円のタコ焼きに、豊かさがある。

「なんでねーちゃんだけが、カバン持ってへんねん?」とタコ焼き屋さんのおっちゃんに聞かれた。

「携帯だけあったらええねん」

私は日頃からカバンは持たない。

「ほんなら、携帯なかったら、死ぬんか」とおっちゃん。

おっちゃんは本気で私をねーちゃんと思ってるらしい。

本気で若者の携帯依存をたしなめるつもりらしい。

もう、カバン持って歩く元気がないから携帯だけ持ってるのに。

普段は携帯さえ重いから持たないっちゅーのに。

普段はカードと車のキーだけやのに。

 

心でたくさん口答えしてから、声に出す。

「うん。死ぬねん」

あくまで、近頃の若者のまま会話した。

 

「ようこちゃん、もう一個、頑張ってタコ焼き食べてみ」と友達がいう。

ほんとは、むっちゃくちゃ、食える。

みんな、私を誤解しているらしい。。。

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