遙 洋子 Yoko Haruka

遙日記

着物で未来が描けない

2022.07.02

姉が着物を着たいという。

「着てどこいくの」

「いくとこない」という。

女三人でうんうん考えた。

いくら考えても、着物着て行くとこない。

結婚式ない。パーティない。お茶会ない。

見合いない。卒業式ない。

着物着て喜ばせてあげたい親はもういない。

「着物着て、京都いこか」

「いって、どうすんの」

「散策や」

「着物着てうろついたらしんどいやん」

三人「・・・」

時代的に姉たちはたくさんの高価な着物と共に嫁いできた。

私は親が作った。

「正月に着ようか」

「もう、正月も皆で会うのやめたやん」

三人「・・・」

「全部もう捨てようか。もってても生涯着ない」

「あんたはまだ若いからとっとき」と姉。

「で、いつ着る?」

三人「・・・」

「じゃあ、何だけ残す?」

「喪服だけかなぁ・・・」

三人、うなずく。

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