遙 洋子 Yoko Haruka

遙日記

他人のための料理を作る

2021.08.24

他人のために料理する。

正確には兄、だ。

肉団子料理と、鮭のクリーム煮と、酢の物。

力作だ。キッチンは爆弾が落ちたように乱れた。

そして・・・

肉団子は見事に崩れ、肉雑炊になり、ゲロみたいになった。

鮭は塩鮭を買ったもんだから、塩辛すぎるクリーム煮だ。

酢の物は、きゅうりが冷蔵庫で腐ってたから、ほぼ白滝だけ。

 

兄は、できあいの玉子豆腐だけに箸をつけた。

私のゲロと塩辛クリームと白滝酢は、まんま、実家の冷蔵庫へと移動した。

 

肉団子は、卵と片栗粉入れたのに、なんでお湯で溶けるんだ?

酢の物に使う白滝は、調理する前に、洗うのか?茹でるのか?

 

自分のためなら、一個の調味料だけで食べるものを確立した。

マヨネーズだけで完成するとか。

でも、他人のための料理だと、そうはいかない。

私は、私ひとりが生きるだけで精一杯だ。

あーーー夫も子もいなくてよかった。

兄は少なくとも、私の料理を責めない。

手をつけないだけだ。

 

兄の私への最上級の配慮、だ。

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