遙 洋子 Yoko Haruka

遙日記

10代金髪女になる

2022.10.21

宿での夕食。

「信州味噌だあ。赤味噌はやっぱり香りいいなぁ」と私。

次に、「やっぱ長野だね。高菜が美味しい」と私。

仲居さんが静かに配膳を済ませ、部屋を出て行った。

長野の名産に浮かれる私。

私の周りにいる5人の姉たちが口を開く。

「赤味噌は信州味噌じゃないよ。」

「え?そーなん?」

他の姉が言う。

「高菜じゃないよ。長野は野沢菜」

「え?そーなん?」

もっと早く教えてよ。配膳の仲居さんがお腹の中でずっと私のことをバカだこの女って思ってるじゃんっ。と姉たちに怒る。

「大丈夫。金髪のバカな10代の女の子に見えるから。ああ世間知らずだなぁ、って。」

「高菜は広島。野沢菜が長野。覚えておきなさい」

 

5人の姉に囲まれたら、どうしたって、バカな10代になる。

「この子、連れてくるんじゃなかったって思ったけど」と姉。

「携帯アプリできれいに写真撮ってくれたから、連れてきてよかったわ」と姉。

 

そんな理由かいっ。

 

 

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