遙 洋子 Yoko Haruka

遙日記

心配性の店員さん

2022.04.05

百貨店地下に海藻専門店があった。

高齢の男性店員さんがいた。

ふと聞いてみたくなった。

「お豆腐のお味噌汁に入れるワカメって・・・どれ?」

瞬時に店員さんの血の気が上がったのが分かった。

「それならコレ! 絶対これが美味しい!」

「塩につけてるの? 生のはないの?」

「生はすぐ痛むでしょ。塩なら海と同じだから半年痛まない!」

「半年も!? この塩洗うの?」

店員さんは一瞬絶句し言った。

「洗うし、水につけるんだ。3分ほど。絶対美味しい。」

「じゃあ、買ってみる」

店員さんは支払いを終えた後でもまだ説明してくれる。

「これくらいだよ。これくらいを水につけるんだ」

「わかった」

「3分だよ!美味しいから!」

「わかった」

「3倍に膨れるからね!」

「わかった」

「絶対美味しいからね」

「わかった」

もう店員さんの声が聞こえないくらい遠ざかった。

でも遠くからまだ店員さんは教えてくれてる。

私が・・・・よほど頼りなく思えたのだろうか。

 

店員さんの言う通りに作った。

・・・・ブラボーに美味しかった!!!

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