「500円が出てこないっ。500円がっ。ああ500円」

駐車場の支払機の前で声に出した。

「ああ。500円が」

その支払機はコインの入り口に書いてある。

『500円硬貨は不可』

なのに、入れてしまったのだ。で取消を押したのに出てこない。

駐車券だけが出てきて、肝心の500円は吸い込んだままだ。

知らないおじさんが私に聞く。

「いくらだったの？」

「600円」

「いくら入れたの？」

「500円。不可ってわかって取消したのにお金がでない」

「駐車券見せて、ここに600円って書いてあるよ。支払済だよ」

「まだ払ってない。ここに100円玉持ってるもんっ」

・・・誰だ、このおっさん・・・

「100円得したんだよ」

「まだ払ってないっ」

何度も係員呼び出しボタン押した。振り返ると長打の列。

「あああ。列が・・・。どうぞお先に」

・・・もう次の人の駐車券の支払いになったら私の500円は永遠に出てこないだろう・・・

「この500円不可は、新500円って書いてあるだろ？旧500円なら使えるんだ」とおじさん。

・・・このおじさんさっきからいるけど、なんで私にくっつく？

「おじさん・・・、ひょっとして係員さん？」

「そーや」

・・・通りすがりのオッサンかと思ったやんけっ・・・