遙 洋子 Yoko Haruka

遙日記

カラーの魔術師と会う

2021.11.08

とうとうその日がきた。

やっとハイトーンカラーのカリスマに毛染めしてもらえる。

肌は白く、細く、声は静かでほぼ聞こえず、一見助手に見える。

・・・この人が魔術師?

まず「髪を5センチ切ります。痛んでるから」という。

私は、「いや」という。

彼は「痛めずしなやかで、色ムラがないのがモットーなので」

私は「でもいや」という。

会うなり険悪。

じゃあまず染めましょう、となった。

「手をちゃんとケープに入れて」という。

次は、「それじゃ僕の手が届かない」という。

「なに?ちゃんと座れってこと?」と聞くと、「そう」という。

次は、「じっとして」という。

毛染めは4時間かかった。

他のお客さんに興味があり周りを見渡す。頭が動く。

すると、「こらっ」と魔術師が怒る。

 

今日、魔術師と一番多く交わした会話・・・

「ちゃんと座って」「じっとして」「できない」「こらっ」

 

そして仕上がる。

脱色したのに、毛がツルツルしてる。腰抜かす。

フツーは脱色したら髪がナイロンみたいになり、きしむ。

がっ。脱色するなりクシでとけるし、さらっさらだ。

・・・こりゃ、予約とれんわ・・・

 

やっと金髪になる。

がっ。さらっさらだ。脱色したのに!!!

・・・魔術師だ・・・

 

私がかつて飛び込んだ優しい美容師さんに見せに行った。

「きゃーーーーっ」と言って急いで店閉めて髪を触り感動する。

私の金髪は、大勢を幸せにするみたいだ。私も!

 

 

 

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