遙 洋子 Yoko Haruka

遙日記

命がけの一夜

2021.08.29

ミナミに服を買いに行く。

ミナミに詳しい友人に付き合ってもらう。

「どんな服がほしいの?」

「梅田で売ってない服。悪ーい服」

「洋子ちゃんは波があるなぁ。上質な服にこだわる時期もあったのに、今は悪い服なん?」

 

ショップで店員さんに聞く。

「悪ーい服ある?」

「これなどいかがでしょう」

「それはただ、変わった服なだけ」

散々見て回り、時計を見ると、7時半過ぎた。

「しまった! 食べる店が閉まってる!!」

数分過ぎただけで店は入れてくれない。

そんな私たちに、暗闇で男が声をかけてきた。

「・・・店をお探しですか」

「・・・そう」

「遅ーくまで開いてる店・・・紹介しましょうか」

「あなた・・・どこの人?」

「その店のもんです」

「どんな店? 見てから決める」

 

結局、そのお兄ちゃんの店で、おそーくまで食べて、喋った。

今、フツーに友達とメシを食うということは・・・

・・・ミナミの一角で、不法薬物を買うようなもんだ。

コソッと男が近寄り耳打ちする。

ミナミ、悪いなぁ。大好きっ。

 

share

Tweet

  • 猫様のお言葉
  • 日経ビジネス電子版