遙 洋子 Yoko Haruka

遙日記

甘い幻想

2021.08.10

トレーナーに声かけられる。

「今日、新しいダンスウェアを入庫しましたよ」

私が過日、売れ残りを3着買ったと知るトレーナーの優しさだ。

そんなにダンスウェアばっかし揃えても・・・と思ったが、

ウェアを見に行くと、トレーナーが待ち構えてた。

一緒に服を吟味してくれるつもりだ。

「これと、これ、かわいい」とトレーナー。

私は「何円?」としか聞かない。

「これ、似合うかな・・・」と自分に当ててみた。

鏡に向かって立つと、鏡の前にトレーナーが腕組みしてる。

僕が判断してやろう、という気概が見える。

 

トレーナーが、ダンベルの使い方以外で、真剣になった。

それも、、、ダンスウェアで・・・。

オトコが・・・。

私の服を・・・。

 

懐かしい甘い幻想がよぎる。

恋人だったり、が私に関わる姿。

「どれどれ、僕が見てあげよう」・・・。

でも私は知ってる。

選ぶのも、買うのも、失敗を被るのも、私自身であることを。

甘い幻想に乗っかり、判断を仰ぐのも楽しかったかもしれない。

でも、私は言った。

 

「どいて。邪魔」

 

 

 

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