遙日記
コーチはプロレスラー
2020.12.07
今日のボディビルのコーチはチャンピオンではなく、現役のプロレスラーさんだった。
「はじめまして。僕、プロレスラーです」
そう言ったから、プロレスラーなのだ。
全身、モリモリの筋肉で眩しかった。
「足を鍛えるなら、これをやりましょう」と、やってみせてくれた。
「・・・」
「どうしましたか?」
「それって、楽しくなさそうですよね」
「え・・・?」
「私、しんどいことはやりたくないのです」
「し・・・しんどい?」
「はい。楽しいことだけ、やりたいのです。それって、しんどそうですよね・・・」
「しんどいこと、したくないんですか」
そして、爆笑し、「おもろいなぁ。しんどいこと、やりたくないんですか。そーですか。しんどいこと・・・」
と、いつまでも、繰り返した。
「これは、楽しいですか。レッグカールと言います。機械使います」
「お? これは楽しいです」
「楽しいですか」
そういってまた、爆笑した。
「これは、楽しいんや。そーなんや」といつまでも笑った。
「私・・・首も太くなりたいんです。だから、首も鍛えるんだ」
「そーですか」と言ってまた笑った。
「ところで、トレーニングメニューのノートは?」とコーチ。
「いりません」
「なぜ?」
「そこには、腹筋が書かれてあるから。私、全部、覚えてるから」
「腹筋は?」
「(小声で)・・・しんどいから・・・」
「そーですか。しんどいですか」と愉快そうに笑った。
「わかりました! 腹筋以外を鍛えましょう!」
ここ、とても好きだ。
みんなが、私の気持ちを理解して許してくれる。
で、みんな、なぜか、笑うんだ。
「チャンピオン、いつも、遙さんを待ってますよ」と、プロレスラーさん。
私、来るんだ。
ちゃんと、来るんだ。