遙 洋子 Yoko Haruka

遙日記

世界チャンピオンのライバル

2020.11.28

ジムでトレーニングしてたら、元世界チャンピオンが近づいてきた。

「あ! 世界チャンピオンって、その後、誰がなったんですか?」

「おらん」

「じゃ、日本で最初で最後の世界チャンピオン?」

「そーや」

「当時のライバルは誰?」

「アーノルドシュワルツェネッガー」

「わぁぁぁ!」

「次、腹筋いこか」

「いやっ」

「君のトレーニングノートは? すべきこと、書いてあるやろ?」

「いりません。全部、覚えた。トレーニングノートには、腹筋がある。だから、ノートいらない」

「腹筋はな・・・」

なに?

「腹筋は・・・つまらんのや・・・」

そう!

「だから、ここにいる連中もあまりやりたがらない。機械のほうが面白いからな」

そう!そう!

「で・・・なんで長い間、来なかったんや?」

「肩を痛めました」

「いつ」

「二回目」

「二回・・・・(ため息)」

「今の先生の心の声、言ってあげる」

「なんや」

「・・・先が思いやられる・・・」

「わはは」

「私、この25キロのダンベル、片手で持ち上げられる日が来る?」

「来ない。僕の現役で65キロ。女子プロで20キロ。」

「今の私は? これは何キロ?」

「1キロ」

「イチ!? イチで痛めたんだ・・・」

 

・・・先が思いやられる。これ、私の声。

 

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