遙 洋子 Yoko Haruka

遙日記

電話しないでっ

2020.11.26

最初の本を出した時、釘を刺された言葉がある。

「家族も友も失うことを覚悟せよ。それが執筆だ」と。

実際、出版する度に、「自分のことを書かれた」と思った人からのクレーム対応に追われることが少なくない。

でも、もう慣れた。

怒らせることも平気になった。

最近は怒らせてしまうことを前提で書いている。

 

「家族のこと書いたからね。ボロカスに」

 

私の家族の中で一番偉い人に出版前に告げておいた。

「家族のことはあまり書かないでほしい」と言われた。

だから返事した。

「もう書いた。ボロカスに」

「・・・・(鼻息)」

 

電話が鳴った。

きっとまた誰かを怒らせてるんだろうなぁ、と思ったら、出たくなくなった。

家族から頻繁に電話が鳴った。

発売と同時に、えらく怒ってるなぁ、と、家族の電話は出ないことにした。

すると、メールが来た。

 

「元気~?」だった。

 

そういう内容で、電話しないでほしいのよねっ。

出版と同時に鳴る電話って、ロクでもないのが多いんだからっ。

当分、誰も私に電話しないでっ。

 

私、元気だからっ。もおっ。

 

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