遙 洋子 Yoko Haruka

遙日記

出版カウントダウン~

2020.11.24

幻冬舎さんが、会いたい、って大阪に来られたのは、6月よ。

「本書いてほしい」って言ってくれた。

でも、幻冬舎って、百田尚樹とか曽野綾子のイメージだから聞いてみた。

「百田尚樹と曽野綾子の端っこに、遙洋子を並べるんですか? 平気ですか? 幻冬舎さん」

「大丈夫です」

でもまだ心配で聞いた。

「私は彼らとは真逆ですよ。わかってますか?」

「わかってます」

 

コロナの最中、新幹線に乗って、会ったこともない作家に執筆を頼みに来る編集者って、どんな気分だろう。

突撃気分かな? あっさり断られて、撃沈して帰るかもしれないもんね。

編集者魂っていうのを感じる時がある。

以前、筑摩書房の歴史を書いた書籍で、戦時中、作家の原稿を取りに行った編集者が、電車の車内で爆撃機に襲われ、原稿が血だらけになったのを、出版社に持って帰ったのを読んだ。

 

上野千鶴子さんと東北から東京に戻る、と、ある編集者に告げると、上野駅で、出版社の社長と編集者さん二人が、直立不動で待ってたんだ。私をじゃないよ。

上野千鶴子という巨匠を待ってたんだ。

直立不動で。

 

これが、きっと、編集者魂なんだと思う。

そう感じた。

彼らは、直立不動で、時代によっては命がけで、原稿をもらいに来るんだ。

コロナの中でも、命がけで新幹線乗って、書いてもらいに来るんだ。

 

そういう魂みたいな無謀さに胸を打たれて、「じゃあ、書いてみよう」と思えたんだ。

で、書こうと思ったら、7月に入るなり、隣のビルの解体工事が始まったんだ。

 

うっそーーーーーっ

うるさくて書けねぇ・・・・。

ってか、寝れねぇ。

ってか、起きれねぇ。

ってか、体調崩した・・・。

サイテー。私。

 

 

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