女性が口紅を選ぶ姿がひときわ好きだ。

足元に3歳児をまとわりつかせたまま、口紅を選ぶ若い母親。

子育てのほんのひと時、自分がきれいにみえる色を選ぶ。

まだ自分がきれいだと実感したい時、口紅選ぶ。

兄嫁が口紅を選ぶ姿を見る。

妙齢になった兄嫁の向こう側には20代の女性たちが口紅選ぶ。

そうだ。

彼女もかつて20代だった。

嫁いできた時の姿をよく覚えてる。

その兄嫁が口紅選ぶ。

無垢な若さから、人生が顔に刻まれた世代になった。

歳月はなんと早いことよ。

口紅塗った後の、女性の笑顔が好きだ。

「どう？」

は、「まだ、私、きれい？」に聞える。

すっごく似合う、と、言ってあげる。

すっごくきれい、と、届けばいい。