遙 洋子 Yoko Haruka

遙日記

実は彼は・・・

2023.05.12

知らない青年が、トレーニング中の私に近づいてくる。

普通、皆ストイックに鍛えてるから、互いを無視し合う。

なのに・・・わき目もふらず私に近づく。

私と目が合う。

きっと、「あ。人間違いでした」というだろう。

ところが・・

 

「お久しぶりです」

 

青年は私を直視してその上、笑顔だ。

「・・・どなたですか・・・」

絶対知らない青年が満面の笑みだ。

でも、声には聞き覚えがある。

そして気づいた。

 

私のトレーナーだった。

マスクして出会い、マスクなしの顔を見たことない。

すると、初めて出会う人になる。

「あ。マスクしますね」とつけると、私のトレーナーになった。

そうだ。こんな目。こんな声だった。

顔、という部位のなんとメッセージの多様さよ。

口元隠すだけで、実は、その人が誰なのか、何なのか、実際は何もわかってなかったのだ。

我々のこのツケ、きっと未来に影響でるぞ。

 

 

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